FXトレードでは相場を分析する方法としてテクニカルとファンダメンタル、2つの分析方法があります。
FXをはじめたばかりで知識も経験もない初心者は、どちらの分析方法が向いているのでしょうか。
2つの分析方法について基本的な考え方や、どちらが初心者向きかについて解説します。
まずはテクニカル分析とファンダメンタル分析の違いについてお伝えしていきましょう。
目次
テクニカル分析とは
テクニカル分析とは、過去のチャート上の値動き(価格の動き)をグラフ化したチャートを分析し、将来の値動きを予測・判断していく分析手法です。
ボリンジャー・バンドや移動平均線、RSIなどが代表的な手法となります。
ドル/円月足チャートにボリンジャーバンドとRSIを表示した例
まず、テクニカル分析は大きく「トレンド系テクニカル分析」と「オシレーター系テクニカル分析」に分けることができます。
主に相場の方向性について分析・判断するのがトレンド系テクニカル分析で、上記に紹介した移動平均線やボリンジャーバンドなどを利用した分析手法が人気です。
オシレーター系テクニカル分析は相場が買われ過ぎ、売られ過ぎかを分析・判断し、売りか買いのチャンスを見極める手法です。
RSIやストキャスティクスなどのテクニカル指標がよく使われます。
ここで大切なのは、どちらの手法がより有効かより、2つの分析手法を併用してより相場分析の精度を高めるという使い方が有効になるという点です。
テクニカル分析で注意したいのが、あまりに独自の手法やトレードルールを作っても効果が期待できない点です。
それよりは誰が見ても同じような判断が下されるようなメジャーなテクニカル分析のほうが、相場で勝てる確率は高まります。
いずれにせよどんな分析手法も絶対はありませんので、相場の行方を分析する参考程度に留めておいたほうがいいでしょう。
代表的なテクニカル分析の例 | ||
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テクニカル指標 (トレンド系) |
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テクニカル指標 (オシレーター系) |
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ファンダメンタル分析とは
ファンダメンタル(経済の基礎的条件)とは、その国の現在の経済状態など政治経済の状況から、現在および将来の為替相場を分析する方法です。
各国の今後の為替や金利動向に大きく影響を与える金融政策や経済見通しを占う経済指標、さらに要人発言などを分析し、将来の相場を予測します。
各国の金利差が為替に与える影響など金融・経済のメカニズムについて、ある程度まで理解していないと分析することは難しいかもしれません。
日本国内ではファンダメンタルズ分析と呼ばれている場合がありますが、アメリカやイギリスではFundamental Analysisと称されています。
ファンダメンタル分析の難しさは初心者だけに当てはまるものではありません。
世界的に著名な大手外資系銀行(投資銀行)のアナリストやエコノミストと呼ばれる専門家でさえ、その分析や見通しについては大きく意見が分かれることがたびたびあります。
また発表された経済指標の結果が良かった場合、通常はその通貨は上昇を見せますが、それまで買いがたくさん貯まっているなど相場の流れによっては反対の動きをすることがあります。
つまり経済指標などファンダメンタル動向の変化が必ずしも相場に反映されるとは限らないことは頭に入れておいてください。
以下にファンダメンタル分析で分析対象となっている代表的なものをご紹介します。
ファンダメンタル分析 主な分析対象例 | ||
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経済指標 | アメリカの指標 |
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EU圏の指標 |
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その他の指標 |
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金融政策 |
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要人発言 |
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市場テーマ |
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FX初心者はテクニカル・ファンダメンタルどちらが向いているか
テクニカル分析とファンダメンタル分析、結局どちらが優れているのか?
という問いに対しての正解はありません。
人によって向き不向きもありますし、どちらか一方だけでも利益を出せる人もいるでしょう。
逆に両方使っても100%勝てるものでない事も忘れないようにしましょう。
初心者向け、の観点からするとどちらかといえばテクニカル分析のほうが取り組みやすいです。
再現性も高いため、FX初心者が最初にマスターすべき分析手法としてはおすすめと言えるでしょう。
その理由を以下にまとめてご紹介しますが、誤解しないで欲しいのがテクニカル分析がFX初心者向きだからファンダメンタル分析は不要ではないということです。
テクニカル分析に慣れた後で、徐々にファンダメンタル分析にも取り組んでいくことをおすすめします。
短期トレード向きのテクニカル分析の特性
テクニカル分析は短期トレード向きの分析手法です。
過去の動きについて日足や4時間足、1時間足、15分足、5分足と様々な時間軸のチャートから分析し、近い将来の予測を立てるのに向いています。
相場は短期間の予測をたてることよりも、長期間の予測をたてることのほうが難しいです。
時間の経過とともに不確実性が高まり、何が起きてもおかしくない状況が起こり得るからです。
反対に短期間ならテクニカル分析によって過去の値動きを見ながら、近い将来の相場の反応や値動きをそれなりの精度である程度まで予測することができます。
中長期トレード向きのファンダメンタル分析の特性
一方のファンダメンタル分析は中長期のトレードに向いています。
重要な経済指標の発表や重要なイベント直後は急激な相場の上昇や下落が見られますが、それらの効果は時間をかけて相場の値動きに反映されていくことが多いからです。
イギリスのEU離脱問題やトランプ大統領によるFRBへの利下げ圧力などは、まさにファンダメンタル分析が活きる場面の一つかもしれません。
中々解決策が見いだせない大きな問題や政策的な混乱はその国の通貨にネガティブな影響を与えます。
例えばトランプ大統領(ドナルド・ジョン・トランプ)は以前から貿易赤字解消や貿易不均衡の是正を掲げてきており、そのためにはFRB(連邦準備制度)による利下げによって、自国通貨を弱くしたい意向がたびたび表れています。
従ってファンダメンタル分析によって
「これから米ドルやポンドが時間をかけて徐々に売られていくだろう」
との予測が成り立つことになります。
そのような分析結果から実際のトレードでは「戻り売り戦略」を想定することができます。
テクニカル分析の再現性の高さ
テクニカル分析は個人や機関投資家などを問わず、世界中の多くのトレーダー達がそれによって相場を分析し、トレードに活かしています。
特にメジャーなテクニカル分析の場合、値動きがテクニカル分析による予測通りに動くことも多く、多くのトレードチャンスをもたらします。
つまり、テクニカル分析はファンダメンタル分析よりも再現性が高く、誰が見ても同じような反応を相場が示すことも頻繁に起こります。
例えばテクニカル分析で利用されることの多いトレンドラインによるレジサポ転換、「ボリンジャーバンド」のプラス(マイナス)2シグマタッチなどは多くのトレーダーが見ており、同じ場面で同じような売り買いがされることも多いものです。
従ってテクニカル分析を学び、その分析結果をベースに相場についていけば利益が得られる可能性があります。
取引通貨ペアによってはファンダメンタル分析も重要
テクニカル分析のほうが再現性も高く、ファンダメンタル分析と異なり誰が見てもほぼ同じように反応する頻度が相対的に高いとお伝えしました。
しかし、取引する通貨によってはファンダメンタル分析が非常に有効な場合があります。
そのような通貨とは中長期のトレードスタンスが適している「資源国通貨」や「高金利通貨」になります。
資源国通貨
資源国通貨は原油や金といった商品先物相場の動きから大きな影響を受けます。
特に原油相場の影響は大きく、原油価格の上昇が見込まれる場合には資源国通貨である豪ドルやカナダドル、南アフリカランドなどが徐々に買われていき、上昇を見せる傾向があります。
また、中国への資源輸出の依存度が高いオーストラリアの場合、中国の経済成長や経済見通しはそのまま豪ドルの勢いにも反映されます。
中長期的に中国経済の下落見通しが見られれば、豪ドルは売り攻勢になるという予測も成り立ちます。
高金利通貨
高金利通貨はスワップポイント狙いの投資家も多く、ファンダメンタル分析が効果を発揮する通貨です。
高金利通貨としては南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソなどが代表的な通貨です。
かつては豪ドルも高金利通貨の仲間でしたが、年々下げられた政策金利の影響により、それほどの高金利とは言えない水準になっています。
高金利通貨の値動きの特徴ですが、元々取引数量があまり活発でないために流動性に乏しいことや経済力の弱さなどによるインフレなどの理由から時に激しい急落となるのでトレードには注意が必要です。
高金利通貨はアメリカの金融政策やグローバル経済の動向に大きな影響を受ける通貨でもあります。
例えば、メキシコペソは隣国のアメリカの政治的・金融政策的な影響をもろに受ける通貨です。
トランプ政権による対メキシコ関税の発動が回避されたのはメキシコペソにとってプラス材料であり、短期的には上昇との予測が成り立ちました。
しかし、その一方でペソにはアメリカのFOMCによる金融政策の影響も受けやすいという局面があります。
貿易赤字解消のためにトランプ政権はFRBに対して利下げ圧力を強めており、中長期的にはメキシコペソの対米ドルでの上昇が予測する向きもあります。
このように金融政策や経済見通しなどに対するファンダメンタル分析は取引する通貨ペア次第でその効果が違ってきます。
これらの通貨ペアでよりトレードの成果を高めるには、ファンダメンタル分析とテクニカル分析を併用することが重要になってきそうです。
テクニカル分析・ファンダメンタル分析の利用例
初心者はまずテクニカル分析から覚え・慣れていく方が良さそうですが、両方使えるようになってくると、市場や相場の動きに合わせて2つの分析手法を使い分け出来るようになってくると思います。
- テクニカル分析を使い上昇しそうな通貨ペアを探し、ファンダメンタル分析を行って取引する
- ファンダメンタル分析で通貨ペアを見つけ出し、売買タイミングをテクニカル分析で計る
- 複数の通貨ペアに関して、常にファンダメンタルとテクニカル両方の分析を行う
上記はあくまで一例であり、無理に両方使う必要もないのでその時々に合わせ臨機応変に対応しましょう。
注意点としては、ファンダメンタル分析だけを見ているとニュース(材料)に振り回されやすくなります。
・昨日、FRB(連邦準備制度)の議長がドル上昇に繋がる発言をし、ニュースに流れた
⇒ドル上昇
・本日、関連する国の経済指標の結果が悪かった。
⇒ドル下落
・明日、別の要人がドル上昇に繋がる発言をする可能性が高い
⇒ドル上昇
これらのニュースに全て反応していると、売買ばかり増えますし精神的に疲れてしまいます。
それよりも、ニュース情報を参考にしながらファンダメンタル分析を中長期的展望に使い、目先の上げ下げはテクニカル分析を見る方が、初心者の方にも向いているでしょう。
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