みなさんは「キャッシュレス決済」を利用していますか?
PayPay(ペイペイ)やLINE Pay(ラインペイ)などによる大規模なキャンペーンにより、日本でもキャッシュレス決済が身近なものになりつつあります。
ユーザーがキャッシュレス決済を利用するメリットは、主にポイント還元や利便性の向上でしょう。
では、視点を変えて、キャッシュレス決済を導入する「店舗」にもメリットはあるのでしょうか?
本記事ではキャッシュレス決済を導入する店舗のメリットについて考えていきます。
目次
キャッシュレス決済とは
キャッシュレス決済は「顧客と店舗が現金(紙幣・硬貨)を使わずに商品やサービスの支払いをすること」です。
とはいえ、一口にキャッシュレス決済といってもさまざまな種類があります。
キャッシュレス決済は、次の3つのタイプに分類できます。
種別 | 決済方法 | 代表例 |
---|---|---|
①プリペイドペイ式 | 前払い | Suica、楽天Edy、WAON |
②リアルタイムペイ式 | 即時払い | Paypay、LINEpay、デビットカード |
③ポストペイ式 | 後払い | クレジットカード |
①の「プリペイド式」は事前にチャージが必要な、電子マネータイプのキャッシュレス決済です。
プリペイド式のメリットとしては、事前にチャージが必要なため使いすぎを防ぐことができることです。
ただし、チャージをし忘れてしまうと支払いができなくなってしまうので、支払いの際に慌ててしまわないように必要な金額を事前にチャージしておく必要があります。
②の「リアルタイム式」の代表はデビットカードです。
この方法の特徴としては、支払いが銀行口座と直接紐付いているため、あたかも現金で取引するように支払いができることです。
しかし、銀行口座に残高が不足していると利用することができません。
PayPayやLINE Payなども、オートチャージ(自動的に金額をチャージする機能)によって銀行口座と直接紐づいている場合は、リアルタイム式に分類することができます。
③の「ポストペイ式」は、主にクレジットカードです。
クレジットカードは手元に現金がなくても支払いができるため、使いやすさから最も日本では普及しているキャッシュレス決済でしょう。
しかし、支払いを滞納してしまうと、ローンが組めなくなったり、財産の差し押さえなどの深刻な事態に陥ることもあります。
どうしてキャッシュレス決済が注目されているのか?
では「どうしてキャッシュレス決済が注目されているのか?」の理由について考えてみましょう。
注目されている理由は二つあり、一つは政府による「キャッシュレス消費者還元事業」の実施がされたことです。
そしてもう一つは、民間による「大々的なキャッシュレス還元キャンペーン」です。
日本政府は、2019年10月1日の消費税率引き上げに伴い、2020年5月31日までの9ヶ月の間、経済産業省主導の「キャッシュレス消費者還元事業」をアナウンスしました。
これによって、店舗の「端末購入費用の3分の2」「決済手数料の3分の1」を補助。消費者に「5%のポイントを還元」することが決まり、キャッシュレス決済の普及に大きな役割を果たしています。
キャッシュレス決済で最も注目を集めているサービスの一つは、ソフトバンクとヤフーが共同出資する「PayPay(ペイペイ)」です。
PayPayは「100億円あげちゃうキャンペーン」を皮切りに、現在でもさまざまなキャンペーンを実施しています。
これにより、消費者に大胆なポイント還元を行うことによって、導入する店舗や利用ユーザーをどんどん増やしています。
また、LINEが運営する「LINE pay(ラインペイ)」も負けじと「全員にあげちゃう300億円祭り」などの太っ腹なキャンペーンを実施しています。
これらのサービスによる大々的なキャンペーンが、キャッシュレス決済の普及に拍車をかけています。
PayPayやLINE Payを代表とするキャッシュレス決済の方法は、次の三つです。
- バーコード:バーコードを表示して店員が端末で読み取る
- QRコード(店舗読み取り):読み取り端末にQRコードをかざす
- QRコード(利用者読み取り):店舗のQRコードをスマホで読み取る
①から③の方法は、専用端末費用や決済手数料が比較的安く、キャッシュレス決済を導入する店舗にとって負担の少ない方法です。
その中でも、③の方法はQRコードを用意するだけでよく、専用の端末が必要にならないために導入している店舗が多い印象です。
テンポがキャッシュレス決済を導入するメリットは?
それでは本題である「キャッシュレス決済導入による店舗のメリット」を解説していきます。
単純に考えると、店舗の収益は「(売上)ー(費用)=(収益)」という計算になります。
そのため、収益を増やすためには「売上を上げて」「費用を下げる」必要があります。
キャッシュレス決済を導入することによって、この二つを実現することができる可能性が高くなります。
では、その理由を見ていきます。
キャッシュレス決済による「売上の増加」
結論から述べると、キャッシュレス決済の導入によって「店舗の売上」が増える可能性は高いと考えられます。
決済を簡単にできることによって、より客層と回転率の増加を主に見込むことができ、たくさんの商品を売ることができる可能性が高まります。
またキャッシュレス決済が利用されることによって、どのような人が顧客となっているのかがわかり、さらに売り上げを上げるための戦略を立てる準備もできるようになるでしょう。
それでは、どうしてそう考えられるのか、詳しく解説していきましょう。
ポイントやキャンペーン目当ての来客が増える
まずキャッシュレス決済の導入によって、ポイント還元やキャンペーン目当ての集客が期待できます。
前提として現金による支払いだと、ポイントカードなどを提示しない限りポイントが付くことがありません。
そのため、現金支払いのみの店舗Aとキャッシュレス決済ができる店舗Bでは、相対的に店舗Bの競争力が高くなり、売上が増えます。
レジ業務効率化による顧客回転率の向上
レジ業務を効率化することにより顧客回転率を向上させることができ、売上増につながります。
例えば、原宿を歩いていてクレープを食べたいと思ったときに、クレープ店に長い行列ができていたら、クレープを食べるのを諦める人も多いでしょう。
このような状況が日常的に起こっているなら、それは大きな機会損失です。
キャッシュレス決済によりレジ業務をスムーズに行えば、機会損失を軽減させて売上向上に寄与すると考えられます。
顧客データの分析を販売戦略に活かす
キャッシュレス決済を導入することによって、顧客データを収集・分析して販売戦略に活かすことができます。
顧客データの収集・分析は、現金支払いでは実現できません。
顧客データとは、顧客の属性や購買履歴、趣味・嗜好などを指すビッグデータです。
ビッグデータを活用することで、事実と数字に基づいた販売戦略を策定することが、スモールビジネスでも実現できます。
これだけでも、店舗がキャッシュレス決済を導入するメリットとしては、十分かもしれません。
キャッシュレス決済による「費用の削減」
次にキャッシュレス決済の導入によって店舗の費用を削減することができることについて、見ていきましょう。
少し細かいところもありますが、その理由を具体的に解説していきます。
レジ業務のミスや誤差を防ぐ
キャッシュレス決済を導入すると、現金を扱っていたときに生じるミスや誤差を防ぐことができます。
例えば、釣り銭間違いであったりレジを閉める時の現金差異などの問題を未然に防止できます。
キャッシュレス決済では全ての支払データをデジタルで管理するため、そのようなミスや誤差が生じる余地はほとんどありません。
このような業務のミスや誤差は店舗にとって日常茶飯時であり、責任者は問題を解決するまで残業せざるを得なく、人的コストが生じています。
キャッシュレス決済を導入することによってこのような非効率をなくし、コストを削減することができます。
新人教育コストの削減
次の理由は新人教育コストの削減です。
キャッシュレス決済に用いる端末は、従来のレジ端末に比べてスマホやタブレットなど比較的なじみのあるものが多いです。
そのため、今までレジ端末の操作の習得にかけていた教育コストを削減することができるので、本来の業務に集中することが可能になります。
事前決済の導入
飲食店などでは、直前のキャンセルやノーショウ(予約の時間に来店しないこと)により損失を受けている店舗が多いです。
もしキャッシュレス決済を導入している店舗であれば、「事前決済」を導入することによってある程度の対策を講じることが可能になります。
予約をする側の顧客にとっても、お金を事前に支払わなくてはならないとなったら、直前のキャンセルやノーショウをしないように抑止することができるかもしれません。
セキュリティ対策コストの削減
従来の現金での支払いのやりとりでは、店舗が現金を保管・移動する業務が必要になります。
海外では、店舗が現金を銀行に持ち出す時を狙って強盗するような犯罪が多発しているようです。
また夜間に少人数で店舗勤務をしている際に、店舗が保管している現金を目当てに脅しをかけられるということも、決してあり得ない話ではありません。
もちろん店舗側もセキュリティ会社と契約を結ぶなどして、対策をすることは可能ですが費用がかかります。
しかし、店舗がキャッシュレス決済を導入していたら、現金を保管・移動する必要がなくなるので、セキュリティ対策にかかるコストを削減することができます。
店舗にメリットが多いために、キャッシュレス決済は増えている
本記事ではキャッシュレス決済を店舗側が導入するメリットについて考察してきました。
キャッシュレス決済のメリットは店舗側には非常に多いため、最近ではスーパー等でも導入するところが増えています。
しかし、手元に現金があった方が管理しやすいという顧客も少なくはなく、店舗が導入したからといっても引き続き現金支払いを行う人も多いでしょう。
ただ、クレジットカードのように翌月引き落としとなるために余計管理がしづらくなっていたときと違い、PayPayなどのキャッシュレス決済はチャージしてすぐに銀行口座に反映されるため、いわば銀行口座をそのままお財布にしているようなもので、残高も確認しやすいのも確かです。
キャッシュレス決済によるお得な面は顧客側にも多いため、今後はさらに普及されていくのではないでしょうか。
店舗導入を考えているのであれば、今のうちに体制を整えるためにも早期に対応した方が後々良いかもしれません。