「eSports」というジャンルでゲームが競技として確立された今、一般に楽しむ層にも「ゲーミングパソコン(PC)」の人気が高まっています。
PC専用ゲームだけではなく、ゲーム配信プラットフォーム「Steam(スチーム)」などによって、プレイステーションのような家庭用ゲーム機向けで発売されたゲームタイトルがパソコンを使って遊ぶことができるようになったことも、ゲーミングPCに人気が集まっている一つの理由かもしれません。
また、ゲーミングPCとはいえ、その用途はゲームだけではありません。
高いスペックを要求されていることから、画像編集やプログラミングなどの大量の処理を行う必要があるときにも便利なパソコンになっています。
今回は、初めてゲーミングPCを購入しようとしている人が選ぶときのチェックポイントやどんなことに注意する必要があるかなどを解説していきます。
目次
ゲーミングPC選びのチェックポイント
PCはスペックに応じてグレードが付けられており、「エントリーモデル」や「ミドルレンジモデル」、「ハイエンドモデル」などと呼ばれています。
そして、その質に応じて値段も変わり、エントリーモデルで5~10万円、ミドルレンジモデルで10~15万円、ハイエンドとなると20万程度の値段になります。
では、「なるべく高価なPCを購入しないとゲームをできないの?」と問われれば、そうではありません。
選ぶときは、PCの値段だけで考えるのではなく、主にグラフィックボード・CPU・メモリの3点をチェックすることが重要になります。
そもそもゲーミングPCとは、「通常のPCよりもゲームの画像やシステムの処理を行うのに特化したスペックを持つPC」を指しています。
そのため、描画処理を行うグラフィックボードが最重要であり、あとは一定の水準を満たしたCPUとメモリがあれば、ゲームをプレイすることは可能です。
つまり、ゲーミングPCでなくとも、家電量販店で売られている通常のPCに、グラフィックボードを後付けすることで、プレイするためのスペックを確保できる場合があります。
では、どこまでのスペックが必要になるのかと思われるかもしれませんが、それはゲームごとに異なっています。
必要環境と推奨環境
ゲームタイトルごとには「必要スペック(必要環境)」と「推奨スペック(推奨環境)」が明示されています。
必要スペックとは、あくまでゲームをプレイするための最低限のものです。
なので、高画質設定にしたときや、オンラインゲームで多数のプレイヤーが一か所に集まったときなど多くの描画が必要なときは高負荷となり、画面が固まったりカクついたりすることもありがちです。
参考として、日本でも人気のFPSゲーム「Apex Legends」の必要スペックと推奨スペックを比べてみると、このようになります。
項目 | 必要動作環境 | 推奨動作環境 |
---|---|---|
OS | Windows 7 64ビット版 | Windows 7 64ビット版 |
CPU | Intel Core i3-6300 3.8GHz / AMD FX-4350 4.2GHz | Intel i5 3570Tおよび同等品 |
RAM(メモリ) | 6GB | 8GB |
GPU(グラフィックボード) | NVIDIA GeForce GT 640 / Radeon HD 7730 | Nvidia GeForce GTX 970 / AMD Radeon R9 290 |
GPU RAM | 1GB | 8GB |
ストレージ | 22GB以上の空き容量 | 22GB以上の空き容量 |
OSに変更はありませんが、CPUのバージョン・メモリ量・GPUの品番およびRAM容量が変わっています。
特に「GPU RAM」とはグラフィックボード内のメモリのことを指していますが、より多くの処理を行うために数値が大きく変化しています。
基本的に、推奨スペックを満たしたPCであれば、高負荷でも処理できるため、画面が止まるなどのトラブルはまず起きません。
快適かつ綺麗な画面でゲームをしたい人は、プレイしたいゲームの推奨スペックを確認し、そのスペックを満たしたPCを選ぶようにしましょう。
ただ、ゲームの技術も年を経るにつれて進化しており、これまではスムーズに遊べるほどの推奨環境であったものが、最新作では必要スペックギリギリになってしまったということもあります。
今後も新しいゲームをどんどんプレイしていきたいと思う人であればハイエンドモデルを買ったほうが、長期的に見ればお得かもしれません。
グラフィックボードの選び方
先ほども必要環境などの一覧の中に「Nvidia GeForce GTX 970」や「AMD Radeon R9 290」などの名称が出てきましたが、グラフィックボードはどのようにして選べばよいのでしょうか?
グラフィックボード(GPU)とは、これまで述べた通り、描画するための部品になります。
ビデオカードとも呼ばれ、CPUやPCの基盤ともなる「マザーボード」に直接ついていることもあります。
ただ、マザーボードなどについているグラフィックボードではゲームのプレイにスペックが足りない・対応していないことが多く、ゲーミングPC選びのときは別途搭載されるようなものが必要となるのがほとんどです。
グラフィックボードはNvidia社の「GeForce」シリーズと、AMD社が開発を進める「Radeon」シリーズの2ブランドが主となります。
この二つについて、次のような違いがあります。
項目 | GeForce | Radeon |
---|---|---|
値段 | 高い | 安い |
用途 | ゲーム向け | アニメ・映画などの映像向け |
消費電力 | 普通 | 多い |
この違いは微々たるものですので、PCを選ぶ際にはそこまで気にする必要はありません。
問題となるのは、「どんなグラフィックボードを選べばよいのか」という点ですが、2つのメーカーからはさまざまな種類・品番が出ているので、一目でわからないことがほとんどです。
そのため、基本的には必要環境もしくは推奨環境のものと同じ品番で、なるべく新しいものを選ぶようにしておくのが一番安全です。
デスクトップ型とノート型の違い
実際に家電量販店のゲーミングPCコーナーに行ってみると、ノート型よりもデスクトップ型を多く見ると思います。
機能的にも料金で見ても大差ありません。
先に述べた通り、ゲームタイトルごとに必要環境と推奨環境は異なっています。
そして、新しいゲームであればあるほど、描画やシステムが良くなっていくため、求められるスペックも高いものになっていきます。
では、デスクトップ型とノートPC型なら、どちらが良いのでしょうか?
簡単にメリット・デメリットをまとめましたので、自分が重視したい点を踏まえて、ノート型かデスクトップ型を選んでみてください。
形状 | メリット | デメリット |
---|---|---|
デスクトップ型 |
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ノート型 |
|
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デスクトップ型は機能拡張しやすい
現在販売されているゲーミングPCのうち、デスクトップ型もノート型のどちらも、スペックに違いはありません。
しかし、デスクトップ型には、メモリやグラフィックボードの交換が容易であるというメリットがあります。
例えば、プレイしたいゲームの推奨環境を見てみると、メモリが足りなかったとしましょう。
このとき、ノート型パソコンを使用していたとして、自力でメモリ増設するのはハイリスクかつ非常に困難です。
もし自力でノートパソコンのメモリを増設するのであれば、本体のネジを外し、複雑な回路を傷つけないように既存のメモリを見つけ出して付け替えるというような作業を行うことになります。
もちろん販売店からの保証は無効となり、作業中にPCが壊れてしまうこともあるというリスクもあります。
ノート型パソコンだからメモリなどの増設はできないというわけではありませんが、安全に行うのであればメーカーへ増設を依頼するなどの方法になり、そのときはパーツ代だけでなく交換費用などのコストが大きくかかります。
また、メーカーに配送して戻ってくるまでに時間もかかってしまいます。
その点、デスクトップ型のゲーミングPCならば、本体の側面などを外せば、内部のメモリやハードディスクにアクセスできる構造になっています。
一般のPCであれば、ネジを外したりする必要もありますが、ゲーミングPCとして売られているものは、ハンドルを押し込んで側面の板を外すだけで中を見ることができるといったように簡単なものが多いです。
ノート型はそもそも壊れないように注意が必要
そして、デスクトップ型は増設だけでなく、修理の点でも便利です。
例えば、どこか一部のパーツが壊れたとしても、新しいものを買ってきて自分で付け替えるだけで済むこともあります。
スペック以外から比較すると、ノート型のゲーミングPCは排熱(熱を逃がすこと)に注意する必要があります。
PC本体の内部に熱がこもると、故障の原因となるため、ある程度の排熱機構はついています。
しかし、ゲームなどの高負荷な処理を行っていると、排熱し切れなくなり、短期間で故障してしまうこともあります。
ノート型は排熱できる量も小さく、また構造上本体の内部機器も密集しがちなため、冷却台などを用意して、排熱を補助した方が安心です。
初心者にはBTOパソコンもオススメ
自分でPCを選ぶことがやはり難しいというときには「BTOパソコン」の購入もひとつの手です。
BTOとは「Build To Order」の略で、BTOパソコンとは、パソコンを要望に応じて業者がカスタマイズしたものになります。
予算や用途を伝えると、その内容にのっとってグラフィックボードやCPUなどを選んでくれるので、自分で選ぶよりも間違いはありません。
キャンペーンとして、手数料無料の分割払いが可能なときもありますので、一括支払いではなく月々3,000円程度ずつの支払いでハイスペックなパソコンを購入できるのもうれしいところ。
デメリットとしては10万円程度のものではないと、ゲームの必要スペックに届かないことが多いです。
5万円程度であれば、家電量販店でも時折セールがあり、中にはゲームプレイに耐えられるスペックのものが販売されることもあります。
なので、BTOパソコンの購入を考えるときは10万円程度の予算を考えておくことをおススメします。
BTOパソコンはどこで買える?
BTOパソコンが購入できる通販サイトは色々ありますが、その中でも「フロンティア(FRONTIER)」ではミドルレンジ級のゲーム向けPCがセールされています。
ゲーミングPCとしてはミドルレンジ~ハイエンドモデルの取り扱いが主ですが、グラフィックボードが初期搭載(NVIDIAやRadeonのグラフィックボードが搭載されていない)で高性能の新品パソコンも5万円台で販売されています。
まだパソコンのことはそこまで詳しくないけれど、高性能なものが欲しいという方にはおすすめの通販サイトになっています。
そして、「@cycom(サイコム)」はPCの取り扱いが豊富で、パソコンのカスタマイズを注文時に行うことができます。
例えば、すでにPCを所持していて、ハードディスクやグラフィックボードなどのパーツを一部流用しようと考えているときには、カスタマイズで除外することで、8万円ほどのパソコンを5万円台にまで値下げして購入することもできます。
逆に、サイズは小さめのままでもなるべく高性能のグラフィックボードが欲しい場合には追加料金がかかりますが、交換することも可能です。
ある程度パーツに関する知識が必要になりますので、初心者というよりは中級者向けの通販サイトになるかもしれません。
値段ではなく、スペックに注意しよう!
「初めてゲーミングPCを買うのだから、まずはお試しで安いものを…」と考えると、実際買って起動してみると、動きがカクついたりすることもよくあります。
高い買い物ではありますが、値段だけで選ぶと全然使いものにならなかったりするので、まず第一にスペックには注意するようにしましょう。
その中で、デスクトップ型のパソコンであれば、足りない部分はパーツを交換することで満たせることもあります。
本体を買ってから、グラフィックボードを増設したほうが一旦は安く済ませることもできます。
ノートPCの場合でも、ブランドによっては外付けGPUというオプションパーツを販売しているところもあります。
デスクトップのパーツに比べると高価になってしまいますが、他のPCや買い替えを行った際にも使い続けられるので、長期的に考えるとコスパは決して悪くありません。
どれだけの頻度で使うか、やりたいゲームにはどこまでのスペックが求められているのかを踏まえたPC選びを心がけるようにしてください。
また、よりゲームを快適に・楽しく遊ぶために「ゲーミングキーボード」という特化したキーボードもあります。
詳しくはこちらの記事でも解説しているので、参考にしてみてください。