
レンタルサーバーの中には無料で使用できるものもあります。
ただ、無料であるために一部機能が使用できなかったり、広告が表示されたりと、使うのに不便と感じることも多くあります。
また、スペックとしても非常に低いものであるため、初心者の練習用という使い方になるでしょう。
その中でも「これからWordPressでブログを運営していきたい」と考える人に向けて、WordPressが使える無料のレンタルサーバーについて、紹介していきます。
目次
無料レンタルサーバーのデメリットと注意点
無料のレンタルサーバーは先にも述べましたが、あくまで「練習用」として考えておくのが良いでしょう。
その理由としては、次の点が挙げられます。
- サービスの広告が強制的に挿入される
- 有料サーバーに比べて低スペック
- 独自ドメイン使用不可
- SSL化できない場合がある
- サーバーの動作が不安定
- サポートがない場合がある
- PHP・MySQL非対応
それでは、それぞれの項目について、詳しく説明していきます。
広告が挿入される
有料のレンタルサーバーであれば、その運営費はユーザーの利用料金によって賄われていますが、無料サーバーにはそれがありません。
その代わりとして、広告を掲載することでその費用を運営に充てているところが多くあります。
サイトのフッターやもしくはサイト内のページに遷移した際に表示されてしまうことで、ユーザーの不信感を買ってしまったり、利便性を損なってしまうということが考えられます。
その影響で離脱率が上がってしまったり、アフィリエイト掲載などの商用利用ができても成果につながりにくいといったデメリットが生まれてしまいます。
中には利用期間などの条件によって、広告を非表示にすることができるレンタルサーバーもありますが、基本的には強制的に広告が挿入されてしまうと理解しておきましょう。
ディスク容量が少ない・低スペック
無料で提供されているサーバーであるため、そのスペックは有料サーバーに比べて低くなっています。
特にディスク容量は特に少なく、多くて1~3GB程度、少ないと500MB前後であったりします。
このようなサーバーだと、WordPressを使うことができても、画像を多少挿入しただけでディスク容量がいっぱいになってしまったりと、文字だけのブログなどしか運営できません。
また、大体の有料サーバーでは読み込み速度の速い「SSD(ソリッドステートドライブ)」を用いていますが、無料サーバーの場合は開示していない・もしくは旧型のHDD(ハードディスクドライブ)であるため、サイトの表示速度も比較的遅くなってしまいます。
表示速度を示す「サイトスピード」は、現在ではGoogleなどの検索エンジンにおけるサイトの評価基準にもなっていると考えられています。
そのため、せっかく作り込んだコンテンツも、サーバーが低スペックであるために良い評価を得ることができず、検索上位に表示されないまま、誰もサイトを閲覧しに来ないといった状況になることも考えられます。
独自ドメインが使えない
独自ドメインとは、レンタルサーバー会社の「sub.service.com」のようなサブドメインではなく、自身で自由な文字列を選んで設定するドメインのことです。
独自ドメインは基本的に「ドメイン取得サービス」で購入するほか、レンタルサーバー会社がサーバー契約時にまとめて購入させてくれる場合があります。
独自ドメインのメリットとしては、中古ドメインであればSEO(検索エンジン最適化)対策のひとつとして、サイトの評価を上げることができたり、サーバー移行時にもドメインを変えることなく用いることができたりなどがあります。
有料のレンタルサーバーの場合だと、サブドメインか独自ドメインを選ぶことができますが、無料サーバーでは独自ドメインを設定できないところが多くあります。
そのため、先に述べた独自ドメインのメリットを活用することができません。
ドメインが変わると、サイトの評価も一旦白紙になってしまうため、長くサイトを運営すればするほど、もったいない結果となってしまいます。
SSL非対応
SSLとは、通信されるデータを暗号化する仕組みのひとつで、サイトのセキュリティ向上やユーザーの信頼性を確保するために必要なものです。
時折サイトにアクセスしたとき、「このサイトは保護されていません」などの表示を見たことがあるかもしれませんが、このようなサイトはSSL化されていません。
URLの始まりが「https://」となっているものはSSL化されており、「http://」と末尾に「s」がついていないものは非SSL化のサイトです。
SSL化されていない場合、ユーザー側からは通信内容の盗聴や入力した個人情報の抜き去りなどのリスクがあるためにサイトを信頼できず、運営側としては管理者へのなりすましやサイトの改ざんなどが起こる危険性があります。
そのため、ユーザー・サイト運営どちらの立場においてもサイトのSSL化は重要になり、無料のSSL証明書を用いれば簡単にSSL化できるのですが、無料サーバーではSSL化に対応していないことがあります。
サーバーの動作や回線が不安定
法人向けのレンタルサーバーなどでは、管理体制が整っていたり、サブのマシンを同時稼働させることによるサーバー動作の安定性が保たれていますが、無料サーバーにはもちろんそのような体制はありません。
このように管理コストを削減して運営されているサーバーであるため、サーバー自体の動作や接続するための回線に何か不具合があったときも対処が遅れ、安定して利用できないという点があります。
サポートがない場合がある
先ほどのサーバーの安定性とも関係していますが、管理コストの削減はサポート体制が不十分になることにもつながってきます。
有料のレンタルサーバーでは、最低でもメールによるサポートがあるところがほとんどですが、無料サーバーの場合は緊急連絡先としてのメール窓口しか用意しておらず、自身が関係するトラブルは自身で調べて解決することになります。
サーバー運営元に原因があるトラブルは対処してくれると思われるものの、それでもトラブル解決までどれくらい時間がかかるのかもわからない・通知が来ないといった不安を強く感じる状況になってしまう可能性もあるでしょう。
PHP・MySQL非対応でWordPress利用不可
無料サーバーではPHPやMySQLが利用できないことが多くあります。
この場合はWordPressも使用できません。
WordPressはPHPとMySQLを用いて、その機能を動かしているため、そもそもサーバーが提供していなければ機能しないプログラムとなってしまいます。
今回はWordPressが使える無料レンタルサーバーを紹介していきますが、基本的には使えないことの方が多いと理解しておきましょう。
ホームページ作成サービスの無料プランと無料サーバーならどっちが良い?
無料でホームページを作るという点であれば、「ホームページ作成サービス」の無料プランも選択肢として挙げられます。
ホームページ作成サービスとは、感覚的にホームページを作ることができるもので、WordPressよりもさらに簡単に作ることが可能です。
ホームページ作成サービスの無料プランにも広告が挿入されたり、独自ドメインが使用できなかったりと制限は似通っています。
ただ、これらの制限は有料プランに移行することで解除でき、有料プランに変えると、表示の装飾を制御する「CSS」が一部利用できたりもします。
では、同じ無料サービスなら、どちらの方が良いのでしょうか?
WordPressが利用できる無料サーバーである場合、さまざまな制限はあるものの、サイト自体のデザインや機能は自由に変えることができます。
これはWordPressの内部を管理画面上から編集することができるためで、ホームページ作成サービスの無料プランは不可能です。
ただ、編集するにはHTMLやCSSの知識が必要であり、そもそもそこまでの利用を考えずにブログ制作を体験したいと考えるだけであれば、ホームページ作成サービスで十分かもしれません。
使いながらHTMLなどホームページ制作に必要な技術も身に着けていきたいと考えるのであれば、無料サーバーでWordPressを使うのがよく、そうではなくまずはホームページをただ作ってみたいというだけなら、ホームページ作成サービスの無料プランから始めることをおすすめします。
WordPressが使える無料サーバーの選び方
WordPressが使える環境であることを前提として、無料サーバーを選ぶ際には下記3つがポイントになってきます。
- 運営元の信頼性
- 独自ドメインの利用可否
- 商用利用の可否
先ほども述べましたが、無料サーバーは運営費を広告掲載で主に賄う形になっています。
そのため、運営費が底をついて、いつサービスが終了するかもわかりません。
特に海外の無料サーバーなどは情報を得ることも難しく、運営の様子はわからないかもしれません。
また、距離が遠方になるために回線も不安定となるので、せめて日本国内の無料サーバーから選ぶ方が良いでしょう。
信頼性を考えるなら、例えば、有料のレンタルサーバーも運営しており、その中で一部を無料で開放しているというような運営会社はおすすめです。
そして、独自ドメインは使えた方が良いです。
先に述べた通り、サービスが終了する可能性があるため、いざ移行する時のことを考えると独自ドメインでサイトの評価を引き継げるようにしておきましょう。
最後に、アフィリエイトなどを行ったり、お店のホームページを作るといった場合には、商用利用が可能である必要があります。
商用利用ができないと、アフィリエイトに限らず、Googleアドセンスなどの広告を掲載することもできません。
以上3点に注意して、サーバーを選ぶようにしましょう。
WordPress利用可のおすすめ無料サーバー
日本国内で無料のレンタルサーバーとして人気が高いのは「XFREE(エックスフリー)」「StarServer Free(スターサーバーフリー)」「XREA(エクシリア)」の3つになります。
これらはすべて、独自ドメイン利用可で商用利用もでき、運営元もそれぞれ有料のレンタルサーバーを運営している企業であるので、安心感も高いです。
- XFREE ⇒ エックスサーバー株式会社(エックスサーバーの運営元)
- スターサーバーフリー ⇒ ネットオウル株式会社(スターサーバー、SSLボックスなどの運営元)
- XREA ⇒ GMOデジロック株式会社(バリューサーバーなどの運営元、GMOグループの1社)
また、WordPressを使うことも可能ですが、プランが分かれていることもありますので、利用する際には注意してください。
サーバー名 | プラン名 | ディスク容量 | 独自ドメイン | サポート体制 | SSL化 |
---|---|---|---|---|---|
XFREE | WordPress機能 | 1GB | 1個 | × | 〇 |
スターサーバーフリー | フリーPHP+MySQL | 2GB | 1個 | × | × |
XREA | ※プラン無し | 1GB | 10個 | 〇 | 〇 |
ディスク容量のみで考えると、「スターサーバーフリー」が他の2社に比べて多くなっていますが、残念ながらSSL化に対応していないため、作成したサイトを公開する際には注意が必要です。
その他のスペックで見ると、「XREA」ではSSL化に対応しているほか、メール・チャットのサポートもついているため、初心者にとっては最も良いサービスかもしれません。
「XFREE」の場合は、有料レンタルサーバーの「エックスサーバー」が高スペックで人気も高いため、XFREEでサイトを運営していたのちに、そのままエックスサーバーへ移行するのであれば、手間が減るというメリットがあるでしょう。
ただ、基本的には無料レンタルサーバーは長く使い続けるものではなく、本格的な運営を行うには有料サーバーへの移行が必須になると思われますので、それまでの練習・慣れのために扱うことを心がけてください。